イメージに惑わされずその本質を知りましょうという格闘技の教本のような漫画.......「ホーリーランド」
とっさの判断で自ら転がる。
こういう経験って普段めったにあるものじゃないです。
しかし先日雨の降った後の公園でやっちゃったんですよね。
公園の中にある高さ1メートルくらいの石垣みたいな所から飛び降りたんです。
そういうある程度の高さの場所に飛び乗ったり、跳びおりたりってトレーニングの一環で時々やることがあるんです。
なんせ動ける身体を目指してますから。
あとは公園でダッシュを繰り返すとか、ですね。
で、雨が降った後だったため当然地面が滑りやすくなっていて、ツルんっと転びそうになりました。
そんな時ってとっさに手が出るんです。
両手をついて何とか転ばないように体を支えようとするのですが、間に合わず、何と?!
右手小指だけで体を支える体勢になってしまいました。
傾いた体は左側には戻せず、そのままだと右に倒れ込んでおそらく小指はポキッといってしまってたでしょう。
瞬間、これはダメだと思い、転んでしまおうと思いました。
でも小指が地面に引っかかったような格好になっていて、そのままでは転べない。
小指をうまくすっと抜きながら転ばないといけない。
どうしたかというと、やや前方へ転ぶ選択をしたんです。
これで小指もスッと抜けて転がることができました。
この間、おそらく1秒2秒あるかないかではなかったでしょうか。
小指は今でも治りきらず痛みがありますが、幸い、骨折はまぬかれました。
1.関節を極められ自ら倒れ込む
格闘技漫画「ホーリーランド」の中に拳法の使い手に手首を極められ、とっさに自ら倒れ込んで逃げるというシーンがあります。
手首を極められた際にそれをはずそうとか逆らおうとすると、そのまま手首を折られてしまうんですね。
この場合は相手の動きに逆らわず自らの体を放り出したほうがいいんです。
最低限のダメージで済みますから。
この瞬間の主人公の判断、動きを観て、私の公園での体験を思い出しました。
とっさの判断で自ら転ぶ、倒れ込む、ということでダメージを最小限に抑える、というわけです。
2.格闘技の教本のような漫画
「ホーリーランド」では様々な格闘技が登場してきます。
そして見た目で一定のイメージがついてしまった格闘技について、「実は・・・なんだよ」と目からうろこの解説をしてくれるんです。
例えば柔道。
打撃系の格闘技に弱いとか、動きが遅いとか、速いパンチにはついていけないとか、一発で相手を倒せないとか、体の大きな者がもみあっているだけ、とちょっと鈍重なイメージがあります。
でも全然違うんですよね。
例えば、柔道の組手の攻防は凄まじく速いもので、それゆえボクサーのパンチを払いのけることも可能だとか。。。
ルールの元、畳の上で行う競技としての柔道ではなく、路上、アスファルトの上なら柔道の投げ技がどれほど危険なものであるか、など。
そりゃそうですよね。
アスファルトの上で背負い投げなんかくらったら一発KOでしょう。
そして無尽蔵のスタミナ。相手にすると考えるとおそろしいです、確かに。
こういう解説付きで読んでみると、「いや、柔道はおそろしく強い」ということがよく理解できます。
空手もそうですよね。
空手出身者が総合格闘技相手では分が悪いように見えますが(テレビ画面で観る限り)、あれは本当の空手ではないということがわかります。
空手というのは元々、相手の急所(鍛えられない部位)を狙う格闘技、護身術なんです。
そもそも目を突いたり喉を突いたり金的を蹴ったり、これが本来の空手の姿ですから。
グローブをつけてリング上で試合する空手の選手は全然強くないです。
でもルールの無い路上では、やはりおそろしい格闘技、相手を破壊する格闘技だと言えますよね。
柔道、ボクシング、空手、キックボクシング、レスリング、総合格闘技、拳法と様々な格闘技が紹介され、そして詳細な解説がなされているという一風変わった漫画なんです。
修行を重ねて主人公が強くなっていくというだけではなく、なぜその格闘技が強いのか、そしてなぜその技が効くのか、こういう動きがなぜ有効なのか、いちいちその解説が理にかなっていて納得させてくれますよ。
テレビなどを通して観るルールありきの世界での格闘技のイメージに惑わされず、その本質を知りましょうよ、とでもいうような、ある意味、格闘技の教本みたいな漫画とも言えるでしょうね。
3.格闘技漫画の名作と言えば
私も格闘技を描いた漫画をさほど多く読んでいるわけではないです。
荒唐無稽なものも多く現実離れしているため、うんざりするのでかえって読まない、と言うほうが近いかもしれません。
ただその中でもやはり「あしたのジョー」は今でも読み返したくなる名作中の名作だと思っています。
ラストへ向けての盛り上がり、意味深な、そして感動的なラストは、なかなか他のマンガではたどり着けないレベルではないでしょうか。
「ホーリーランド」はそれとは異質な漫画です。
感動を与えられるというものでもないですし、あの意外な幕切れも私は好みではないです。
ただ格闘技に関するヒントやアイデアが豊富で、そしてその強さの本質を語ってくれる数少ない漫画だということは言いたいですね。